出資を受けて株式会社設立する場合の注意点【過半数持たないと雇われ社長の危険性あり】
「1,000万円を出資してあげるから、会社の運営をやってくれないか?」
このような話は割とよくある話かと思います。
※実際に私も1,000万円の出資を受けての会社設立と運営を提案されたことがあります。
今回は、このように、他人から資本金の出資を受けて、株式会社を設立する場合の注意点についてなるべくわかりやすく書いていきます。
株式の持ち分割合について
※株式会社設立の手続きの詳細については別で記事を書く予定なので、そちらをご覧ください。
※定款認証手続きについては、以下の記事に詳しく書きました。
↓ ↓ ↓
https://satotaiga.com/teikanninshou-hiyou-kabushikigaisha/
出資を受ける場合、以下のように考えている人もいると思います。
ケース①
「とりあえず最初は、100%出資者が株を持つけど、どこかのタイミングで株を買わせてもらおう」
ケース②
「50%ずつ持てば、半分ずつだし、たぶん大丈夫だろう。何かあればその時に話し合えばいいよね」
しかし、このような考えで会社設立を進めてしまうと、後々で大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
ケース①については、これから作る株式会社が「株式譲渡制限会社」である場合は、難しくなる場合があります。
株式譲渡制限会社とは
譲渡制限会社とは、保有している株式会社を譲渡する際は、取締役会または株主総会の承認を受けなければ譲渡ができない会社のことを言います。
これは特に珍しいことではなく、よくある一人株式会社などもこの「譲渡制限会社」の規定を定款に入れることが多いです。
譲渡制限会社で会社を作った場合、株式を出資者から譲ってもらおうとしても、取締役会または株主総会の承認が必要になります。
そのため、出資者が会社において取締役などに就任していたり、大多数の株式を保有する場合、承認が得られず、自分に譲ってもらうことができないという問題が発生する可能性があります。
株の保有割合が50%50%の場合【デッドロック】
続いてケース②の場合についてです。
よく友人や知人と資本金を半分ずつ出し合い、株も半分ずつ保有して会社を作るという話がありますが、このパターンも後々でトラブルの種になってしまう可能性があります。
「デッドロック」とは膠着状態を意味します。
株式会社の重要な議決は、株主総会を開催して過半数の議決で決めなければならないとされています。
株式の持ち分割合が50%ずつだと、どちらの意見も自分1人では会社の意思決定とすることができません。
株主総会の議決として成立させるには、最低でも51%の株式を保有していなければなりません。
そのため50%ずつ株式を保有していると、2人とも1人では何も会社の重要事項を決定することができません。
これにより長期間にわたって、議論が平行線のままで消耗してしまうという事例が多いです。
結局のところ、どれくらいの株を持つようにすればよいのか?
これまで見てきたように、株式の保有割合というのは、とても大事です。
なので、誰かから出資を受けて株式会社を作る場合は、最低でも自分で51%以上の株式を持てるように交渉しましょう。
自分の保有する株式が49%以下だと、いつでも役員を解任されてしまいます。
※役員の解任は、株式51%以上の議決で決することが可能だからです。
言うなれば、保有株式が49%以下の状態だと、「雇われ社長」の状態であるということです。
51%以上の株式保有者の言いなりになってしまうので、独立起業というよりは、サラリーマン社長に近い状態になり、自分の自由度が減ってしまうのです。
出資を受けるときの対応策
資本金の出資をしてもらう立場でありながら、株式保有割合の交渉するというのは、正直話がしずらいかと思います。
ただ、後々のトラブル防止のためにも、株式の保有割合をしっかり出資者の方と話し合うようにしましょう。
会社設立時に株式は持たせてもらえなくても、後から株式を譲ってもらうという同意書を作ることによって、書面で約束をすることも有効と言えます。
書面を取り交わすことなく、口頭だけの約束だと「言った・言わない」の問題になりますし、万が一裁判になってしまった場合にも証拠が残りません。
「悪い人ではないから、たぶん大丈夫でしょ」
と会社設立を進めてしまうと、トラブルに発展してしまいますので、よくよく話し合うようにしてお互いが納得できる形で、新規事業を始めていきましょう。
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行政書士 佐藤 大河(さとう たいが)
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